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ノロウィルス対策

1. ノロウィルスは非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウィルスの一属である。感染者のふん便や吐物、あるいはそれらの乾燥物の塵埃を介して経口感染するほか、河川を経由して蓄積された貝類等の摂食による食中毒が原因の場合もある。

 

2. 潜伏期間(感染から発症までの期間)は24~48時間で主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛で、発熱は軽度である。通常はこれらの症状が2~3日続き、その後治癒し後遺症もない。また、感染しても発症しない場合や軽いこともある。

 

3. 現在、このウィルスに効果のある薬はない。従って、対症療法が行われる(脱水症状の処理)。下痢止めは病気の回復を遅らせことがあるので使用しないことが望ましい。

 

4. 診断は通常、症状や感染状況等から総合的に推定。「ノロウィルス抗原検査」はふん便中のノロウィルスを検査キットで検出。3歳未満、65歳以上に保健適用されているが、偽陰性があり、補助診断用に実施する。確定診断は、「電子顕微鏡法」「遺伝子検出法」(RT-PCR法、リアルタイムPCR法)でウィルス検出を行う。

 

5. 食中毒の予防は加熱処理が重要。とくに大量調理施設(学校・老健施設等)では、二枚貝などの食品は中心部85~90°Cで90秒以上の加熱による失活化が必要。

 

6. 手洗いは最も有効な予防手段である。調理前、食事の提供前、食事前、トイレの後、患者の汚物処理後。特に、調理者は常に爪を短く切って、指輪をはずし、石鹸を十分泡立て、ブラシを使用して手指を洗浄する。

 

7. 殺菌は一般的にはエタノールや逆性石鹸が使われるが、完全ではなく、失活化には次亜塩素酸ナトリウム(家庭では塩素系漂白剤で代用)や加熱が有効。

 

8. ノロウィルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染する。したがって、ふん便や吐物は乾燥しないうちに速やかに処置することが大切である。

 

9. 11月から2月末頃まで乳幼児や高齢者はノロウィルスによる急性胃腸炎が流行しやすい。この時期の下痢便や吐物処理にはノロウィルスを考えて対処することが大切である。

 

10. ノロウィルス感染が疑われた場合は、最寄りの保健所やかかりつけ医に相談しましょう。