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インフルエンザの基礎知識 Q&A

Q.1  インフルエンザと普通の風邪はどう違いますか?


 一般的に、風邪は様々なウイルスによって起こりますが、普通の風邪の多くは、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳等の症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはありません。一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気で、38°C以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛等全身の症状が突然現れます。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、症状も見られます。お子様ではまれに急性脳症を、ご高齢の方や免疫力の低下している方では肺炎を伴う等、重症化することも特徴です。

 

 

Q. 2  インフルエンザはいつ流行しますか?


 インフルエンザは流行があり、いったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が広がります。日本では、例年12月~3月頃が流行シーズンです。

 


    
Q.3 インフルエンザと新型インフルエンザはどう違いますか?


 A型のインフルエンザはその原因となるインフルエンザウイルスの抗原性が小さく変化しながら毎年世界中のヒトの間で流行しています。これを季節性インフルエンザと呼んでいます。新型インフルエンザは、時として、この抗原性が大きく異なったインフルエンザウイルスが現れ、多くの国民が免疫を獲得していないことから全国的に急速にまん延してしまいます。国民の健康と生命、生活に、場合によっては医療体制を含めた社会機能や経済活動にまで影響を及ぼす可能性があるものを新型インフルエンザと呼んでいます。 

 

 

Q.4  インフルエンザは予防できますか? 


ウイルス感染そのものを完全に防ぐことが出来ればいいのですが、現在のところ残念ながらそのような方法は存在しません。人ごみを避けたり、患者との接触を絶って感染の機会を減らすとか、寒気をさけて充分な栄養と休息をとって体力を保つとか、うがいや手洗いを励行するなどの一般的な予防方法は、消極的ですが効果はあり、是非とも心掛けるべきことです。しかし、インフルエンザ予防対策の中心は、ワクチンの予防接種であるということが世界的に広く受け入れられています。

 

 

Q.5 インフルエンザにかからないためにはどうすればよいですか?


① 流行前のワクチン接種
インフルエンザワクチンは、感染後に発熱する可能性を低減させる効果と、インフルエンザにかかった場合の重症化防止に有効と報告されています。
② 飛沫感染対策としての咳エチケット
インフルエンザの主な感染経路は咳やくしゃみの際に、口から発生される小さな水滴(飛沫)による飛沫感染です。したがって、飛沫を浴びないようにすればインフルエンザに感染する機会は大きく減少します。
③ 外出後の手洗い
④ 適度な湿度の保持
⑤ 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
⑥ 人混みや繁華街への外出を控える

 

 

Q.6 インフルエンザワクチンについて教えて下さい?


これまでのインフルエンザワクチンは、A型(主に11月から1月に流行する型)が2種類とB型(主に1月から3月に流行する型)が1種類の合計3種類の抗原を含む、3価と呼ばれるワクチンでした。なぜ、その抗原を選ぶのかというと、一般的によく流行すると思われるウイルスに対抗するためです。A型インフルエンザでは、実際に問題となるタイプはH1N1(A香港型)と3N2(2009年に新型インフルエンザとして騒がれたタイプ、今では新型ではありません)の二つだけです。しかし、B型インフルエンザは、最近の流行をみると、ビクトリア系統と山形系統の二つがあります。これまでは、今年はどちらの系統がはやるか、ある程度予測し科学的に検討して決めていましたが、当然外れることもありました。予想が外れた場合はまるで意味のないワクチンになってしまいます。このような的確性の低いワクチンはやめようということで、2015年のシーズンからは、B型の抗原がビクトリア系統と山形系統の2種類に増えた、4価のワクチンになりました。

 

 

Q.7 インフルエンザにかかったらどうすればよいのですか?


具合が悪ければ早めに医療機関を受診しましょう。
安静にして、休養をとりましょう。特に、水分を十分に補給して睡眠を十分にとることが大切です。また、小児、未成年者では、インフルエンザの罹患により、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回る等の異常行動を起こすおそれがあるので、自宅において療養を行う場合、少なくとも発症から2日間、小児・未成年者が一人にならないよう配慮しましょう。

 

 

Q.8  ワクチンの接種を受けたのにインフルエンザにかかったことがあるのですが、ワクチンは効果があるのですか?


インフルエンザにかかる時はインフルエンザウイルスが口や鼻から体の中に入ってくることから始まります。体の中に入ったウイルスは次に細胞に侵入して増殖します。この状態を「感染」といいますがワクチンはこれを完全に抑える働きはありません。ウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て、急激な発熱やのどの痛み等のインフルエンザの症状が起こります。この状態を「発症」といいます。ワクチンには、この発症を抑える効果が一定程度認められています(発症抑制効果)。発症後、多くの方は1週間程度で回復しますが、中には肺炎や脳症等の重い合併症が現れ、入院治療を必要とする方や死亡される方もいます。これをインフルエンザの「重症化」といいます。特に基礎疾患のある方やご高齢の方では重症化する可能性が高いと考えられています。ワクチンの最も大きな効果は、この重症化を予防する効果です(重症化抑制効果)。

 

 

Q.9  昨年ワクチンの接種を受けましたが今年も受けた方が良いでしょうか?


 季節性インフルエンザワクチンでは、これまでの研究から、ワクチンの予防効果が期待できるのは、接種した(13歳未満の場合は2回目接種した)2週間後から5カ月程度までと考えられています。また、インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行が予測されるウイルスに合わせて製造されています。このため、インフルエンザの予防に十分な免疫を保つためには毎年インフルエンザワクチンの接種を受けた方がよいと考えられます。

 

 

Q.10 インフルエンザワクチンの接種はいつ頃受けるのがよいですか?


日本では、例年12月~3月頃が流行シーズン、例年1月~2月に流行のピークを迎えます。ワクチン接種による効果が出現するまでに2週間程度を要することから、毎年11月初頃から12月中旬までには、 ワクチン接種を終えることが望ましいと考えられます。

 


Q.11 ワクチンの接種量及び接種回数は年齢によって違いはありますか?


インフルエンザワクチンの接種量及び接種回数は次のとおりです。
   (1)6カ月以上3歳未満の方   1回 0.25ml   2回接種
   (2)3歳以上13歳未満の方    1回 0.5ml  2回接種
   (3)13歳以上の方       1回 0.5ml     1回接種

1回目の接種時に12歳で2回目の接種時に13歳になっていた場合でも、12歳として考えて2回目の接種を行っていただいてかまいません。
(注1: 13歳以上の基礎疾患(慢性疾患)のある方で、著しく免疫が抑制されている状態にあると考えられる方等は、医師の判断で2回接種となる場合があります。)


  
Q.12 インフルエンザワクチンの接種によって、引き起こされる症状(副作用)にはどのようなものがありますか?


免疫をつけるためにワクチンを接種したとき、免疫がつく以外の反応がみられることがあります。これを副反応といいます。季節性インフルエンザで比較的多くみられる副反応には、接種した場所(局所)の赤み(発赤)、痛み(疼痛)等が挙げられます。接種を受けられた方の10~20%に起こりますが、通常2~3日でなくなります。全身性の反応としては、発熱、頭痛、寒気(悪寒)、だるさ(倦怠感)などが見られます。接種を受けられた方の5~10%に起こり、こちらも通常2~3日でなくなります。また、まれではありますが、ショック、アナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、赤み(発赤)、掻痒感(かゆみ)、呼吸困難等)がみられることもあります。ショック、アナフィラキシー様症状は、ワクチンに対するアレルギー反応で接種後、比較的すぐに起こることが多いことから、接種後30分間は接種した医療機関内で安静にして下さい。また、帰宅後に異常が認められた場合には、速やかに医師に連絡して下さい。

参考資料:厚生労働省ホームページ